少し前のニュースなのですが、2015年の日本山岳遺産に、長野県の南木曽岳と高知県・徳島県にまたがる三嶺が認定されました。
日本山岳遺産とは、次世代に伝えたい豊かな自然環境や、人と自然の関わりを有し、それらを守り、活用するような地元の活動が盛んな山や山岳エリアを、日本山岳遺産基金が認定するものです。
メンバーには多くのアウトドアメーカーや販売店が参加し、個人でも基金に参加することが出来ます。
■2015年度の日本山岳遺産認定地と認定団体
2015年度の日本山岳遺産認定地と認定団体は以下の通り。
本年度は7つの団体からの申請があり、アドバイザリーボードの助言のもとで、事務局で検討した結果、以下の2箇所を決定しました。
各認定団体には、本年度中に基金事務局と調整のうえ、助成金を拠出します。併せて山と溪谷社の媒体を活用した広報支援を行う予定となっています。
認定地(山名) 都道府県 認定団体 主たる活動
①南木曽岳(なぎそだけ) 長野県 南木曽山士会 山岳環境保全・登山道整備
②三嶺(さんれい・みうね) 高知県・徳島県 三(さん)嶺(れい)の森をまもるみんなの会 山岳環境保全・教育普及
①南木曽岳(長野県)/南木曽山士会
【山の概要】
中央アルプス南西部に位置する南木曽岳(なぎそだけ/1679m)は、御嶽山、木曽駒ヶ岳と合わせた「木曽三岳」のひとつで、古くから修験の山として知られている。急峻な独立峰で、山腹には「木曽五木」と呼ばれるヒノキ、アスナロ、コウヤマキ、ネズコ、サワラの常緑針葉樹林が多く見られ、山頂周辺はクマザサに覆われ、花崗岩の巨岩と針葉樹が点在する庭園的な景観を楽しむことができる。
【認定団体】
地元南木曽町の山を愛する人たちを中心に、30年近く、南木曽岳の登山道整備を行う。
【認定理由】
南木曽岳は、登山者に人気の山であるものの、国定公園や県立公園といった自然公園に指定されていないため、登山道整備に関しては完全に地域にゆだねられている。そのような中で、完全なボランティアでこつこつと登山道維持・補修を行ってきた点を評価。登山道整備のための資材購入費用などを助成対象とする。
②三嶺(高知県・徳島県)/三嶺の森をまもるみんなの会
【山の概要】
三嶺(さんれい・みうね/1894m)は高知県と徳島県の県境に位置し、高知側では「さんれい」、徳島側では「みうね」と呼ばれる。剣山系の一部で、ミヤマクマザサとコメツツジに覆われた稜線と山腹部のモミ、ツガ、ブナなどの原生的自然林が広がるすばらしい景観が見られる。2000年代はじめから原生林内のシカ食害が始まり、2007年には核心部の被害が深刻になり、さまざまな保護活動が行われている。
【認定団体】
シカ食害が深刻化した2007年に設立され、市民団体や研究者、自治体、林野庁・環境省などと協働して、希少植物や樹木の保護、土砂流出防止などの環境保全活動を行う。また、地域の子どもたちを対象にした環境教育や、近年は植樹などの森林再生活動なども行っている。
【認定理由】
各地でシカによる食害が問題になっている今、地域連携協働の仕組みを作り、効果的かつ多面的な活動を展開している点を評価。2016年度に「三嶺の森をまもるみんなの会10周年記念誌」として、『剣山地三嶺地域を守る――シカ食害15年史』という冊子の発行を予定。この冊子を活用して、広くシカ問題の啓発に役立てるために、その制作・印刷費、発送費などを助成対象とする。
※各団体への助成内容と助成金額については、申請内容を鑑みて、調整中です。
■2016年2月には日本山岳遺産サミットを開催
当基金の活動を報告し、今年度の認定団体を発表・表彰する「日本山岳遺産サミット」を来年2016年2月27日(土)に、東京・神保町のインプレスグループセミナールームにて開催。
詳細は当基金のウェブサイト、ニュースリリース等で発表します。
山だって、手入れをしなければ荒れ放題となってしまいます。
都会に住んでいると思いもよらない獣害もあるので、樹木の手入れだけではない対策も必要なのです。
どちらの山も訪れる登山者のために、地域が登山道の整備等を行ってくださっているとのことで、頭がさがる思いです。